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長期金利上昇 どう変わる住宅ローン金利?
このコラムのまとめ
- 10年物国債利回り上昇が与える住宅ローンへの影響
- 住宅ローン「変動金利」と長期金利との連動は?
- インフレーションと金利との関係は?
- 変動金利と固定金利との選択
長期金利1%越え!歴史的には?
住宅ローンの金利についても関心が高まっています。ここでは、金利の動向が住宅ローンに与える影響と、変動金利と固定金利の選択肢について考察してみましょう。
10年物国債利回りの上昇と住宅ローンへの影響
10年物国債利回りが上昇するという動きは、住宅金融市場に影響を及ぼす可能性があります。これは、長期固定型の住宅ローン金利の基準となる長期金利が上昇することで、住宅購入やローン借り換えのコストが上昇することを意味します。
このグラフの通り、10年物国債の利回り(図中赤色の折れ線グラフ)と長期固定住宅ローン「35年固定金利フラット35金利」(図中ピンク色の折れ線グラフ)が同じように動いていることが分かります。
住宅ローン「変動金利」と長期金利との連動は?
- 現在日本の住宅ローンを借りる方で一番多く借入されている住宅ローンは変動金利の住宅ローンです。
- 10年物国債とこの住宅ローンの変動金利が連動しているか?に関してもう一度先ほどのグラフで見てみましょう。
- 10年物国債の金利推移(図中赤色の折れ線グラフ)が比較的激しく動いているのに対して都市銀行変動金利(店頭金利)(図中紺色の折れ線グラフ)は約30年にわたって安定した推移となっている事が分かります。10年物国債に代表される長期金利と短期金利と言われる変動金利の住宅ローンの店頭金利や短期プライムレート(銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利。住宅ローンの変動金利をこの短期プライムレートに連動させている金融機関が多い)はお互い連動性が無いことが見受けられます。もちろん、過去のデータだけで将来を予測するのは難しいため、今後に関しては引き続き経済の動向には注視が必要です。
インフレーションと金利の上昇
- 一般的に、物価の上昇が見込まれる場合、中央銀行は通常、インフレーション抑制のために短期金利を引き上げる傾向があります。これにより、短期金利は上昇します。その場合住宅ローンの変動金利も上昇が想定されます。
- しかし、物価の上昇が短期的な需要と供給の変化によるものである場合、中央銀行がインフレーションを抑制する必要性がないと判断する場合があります。その場合、金利に大きな変化は生じない可能性があります。
- 上記グラフで海外の各国と日本の物価上昇率の比較を行うと赤色の折れ線グラフ「日本の物価上昇」率は青色の折れ線グラフ「アメリカ」などと比較すると比較的低く抑えられている事が見受けられるます。
- 2024年4月の日銀金融政策決定会合での日銀総裁の会見では「経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになりますが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えています。日本銀行は2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営致します。」と発表されました。2024年4月時点では現状はインフレーション抑制のために金融引き締めに動くタイミングだと認識しているわけでは無いと思われます。
変動金利と固定金利の選択肢
住宅ローンを選ぶ際には、金利の固定か変動かという点は悩ましい内容です。固定金利は金利が固定されるため、将来の金利上昇リスクを回避できますが、低金利下では変動金利と比較して金利が高いというデメリットもあります。一方、変動金利は金利が市場の状況に応じて変動するため、金利の上昇リスクがありますが、今の日本の金融市場では低金利で住宅ローンを借りる事が出来るメリットがあります。
まとめ
金利の動向は住宅ローンの金利に直結し、将来の金利動向を予測することは容易ではありません。しかし、中央銀行の金融政策や国債利回りの動きを注視することで、金利の動向を把握し、適切な住宅ローンの選択を行うことができそうです。固定金利と変動金利の選択は、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で行うことが重要です。金利上昇と物価の上昇は将来の金利動向に対する不安を軽減し、安心して住宅ローンを選ぶために、金利動向の情報を積極的に収集し、将来の金利動向を予測し、自身のライフスタイルやリスク許容度に合わせて適切な選択をしましょう